気象予報士試験合格体験記

気象予報士試験に合格しましたにゃんぱすと申します。普段は医学生やっており、今大学二年生です。

僕の進んできた道はおそらく一般的な方法でないと思うので、参考にならないと思います。ただ、こんな方法で合格してきた人もいるんだなという一部の例として読んでいただけると幸いです。

なんで私が気象予報士に?

「医者になるんだからさ、気象予報士の資格とかとってもキャリアに関係なくない?」

と言われるともちろんそうなんですよね。たぶんほとんどの人が無駄だろうなって思うと思います。僕は理論的に物事を考えるのが好きなので、実際に頭の中では無駄だとは思っていました。それでも、例えばお金持ちになれるとか、かわいい女の子と遊べるとかそういう打算的な気持ちが一切なくて勉強に励めたのは、気象予報士に対する"愛"だと思います。僕にとっての愛の結晶が気象予報士資格となりました。

突然愛について語って申し訳ないですが、もともと天気に興味があったことが第一理由ですね。天気に興味があって.....からスタートしてまさかこんなに気象に沼るとは思っていませんでした。人生とはわからないですね。なんで私が気象予報士に?

気象予報士試験合格への考え方

この文章を読んでいる皆さんはおそらく気象予報士資格を習得したいと考えていると思います。しかし簡単な資格ではありません。

資格試験において、意外とやりがちですがやってはいけない勉強法というのがあります。それが、

・教科書を読む

・過去問演習だけをする

・最後に過去問を解く

です。僕はこれをやってしまったがゆえに、4回も気象予報士試験に不合格になってしましました。別にこれは気象予報士試験に限らず、医師国家試験でも似たようなことが言えるそうですし、アトム法律事務所の岡野武志弁護士も司法試験でも同じとYoutube上で述べていたのでおそらく正しいと思います。では、なぜダメなのかについて説明していきます。

・教科書を読む

これは、教科書を読んだところで試験で問われる部分だけをうまく取り出せるとは限らないからです。おそらく教科書を一読したところで、「成層圏において、オゾン層が最も濃い部分が最も暖かい」という文章に×はつけられないでしょう。こういったひっかけ問題が多数出てくる気象予報士試験においては、最初にじっくり教科書を読んでもあまり意味がありません。サラサラ読んでなんとなく理解しておくだけで大丈夫です。

・過去問演習だけをする。

これもダメです。僕は54回、55回でこの勉強法でしっかり専門学科で不合格になりました。大学の試験は難しいんですけど、過去問演習だけをしとけば何とかなる部分があったんですよね。これは反省ポイントであります.....

過去問演習を行った後に、間違った部分、正解した部分がなぜ間違っていたか、なぜ正解したのかを教科書や解答・解説を照らし合わせて『思考する』ことが必要となります。

この思考するという部分が大切で、思考の意味を掘り下げるために尊敬している大学教授の言葉を引用すると

本来大学という場は、思考を行う場である。答えなんぞ細かい知識を覚えても無駄だ。我々はwalking dictionary を作ろうとしているのではない。近頃の学生は成績ばかりに夢中になっているが、社会に出てからは大学の成績等は何の役にも立たない。ゴミ同然である。そんなものにとらわれている時点で、人間として幼稚である。答えをどれだけ細かく覚えたかで君たちは優劣をつけようとしているが、そんなものは知性的とは言えない。確かに医学部というのは職業専門学校でもあるので、医師国家試験
という絶対的な答えがある問いに正しく答える必要がある。しかし実際に臨床に出てみればおそらくわかると思うのだが、患者様には様々な背景があり、最適解は存在しないのである。そこで細かい知識を知っていることにいったい何の得があるのだろうか。私が重視しているのは、fact よりも process である。こういった患者様を相手にする時、どのような方法で最適な答えに近づけるかを思考できる人こそが、真に優秀な人なのではないだろうか。

といったところでしょうか。

・最後に過去問を解く

これもダメです。これは教科書を読むとよく似ているのですが、教科書を読んだところで過去問が解けるとは限りません。それができるのはほんの一握りの天才だけです。僕は無理です。

以上をまとめると、行うべき勉強法は

① 教科書をサラッと読んで、問題演習に早く入る

② 問題演習で正解した部分、間違えた部分ともに教科書で確認し、次回以降類問と共に間違えないようにする。

③ ②を繰り返す

だと思います。

54回気象予報士試験まで

大学に合格したものの、コロナ禍でやることがなかったうえサークル活動もなかったこと、そして中学一年生の時に買った気象予報士試験の教科書を気まぐれにとってみたところ面白かったので勉強を開始しました。

医学部の一年目はそれほど忙しくなく、気象の勉強(特に学科)に集中できました。

幸いにも大学受験が終わって物理や数学の知識が残っていたので、それをうまく使って一般学科はあまり苦労せず乗り切りました。

一方、法律については初めて勉強することもあり、一番苦戦しました。法律は出る範囲が決まっていますので、過去問演習とU-Canの〇×形式の問題を解いていました。

専門は半分記念受験で行きました。本当に苦手........

一般は14/15 専門は9/15で一般合格でした。f:id:nyanpassmed:20220314133402j:plain

55回気象予報士試験まで

地元が大阪なのですが、ここで大学のある東京に住むことになりました。

初めての一人暮らしで環境の変化が特に大きかったです。ですのであまり勉強ができませんでした.....

どちらかというと、なんとなくやっとけば気象予報士の専門くらいは合格するか!と思っていました。

そんななか受けた専門学科の点数は....

6/15

はい終わりでーす!!!!!

56回気象予報士試験まで

東京医科歯科大学の医学科2年生(以下、medicalの2年生ということでM2と表現)は、地獄と表現されるほど試験が難しいです。半数以上がなんらかしらで試験を落としてしまうといわれています。

↑4月はゆるかったんですけど、これが一年続きます。

地獄度合いを表すと、5~7月の三か月で解剖単語を日本語と英語(ラテン語という表現の方が正しいかも?)を合計5600個覚えます。1週間に1度、合計10回試験がありこれを通さなければなりません。

単語テスト

さらに解剖学は単語を覚えていても意味がないので人体の立体構造も知る必要があります。さらに1週間に3日実習があり、朝から晩まで行われます。

8月はどう考えてもこれらの試験対策をしなくてはいけなかったこと、そして4月5月6月は医学の勉強に割く必要があったことから、7月に気象予報士専門の勉強を、8月に気象予報士実技の勉強を始めることにしました。

専門の勉強はかなり苦戦しました。なんせ覚えているか覚えていないかの違いもありますし、一般と違って考えれば解ける問題が少なく難しかったです。また、前回6/15だった恐怖感もありかなりびくびくしながら過去問分析をしていた記憶があります。

実技は専門が受からければ無駄と考え、ほぼ捨てて大学の勉強をしていました。

8月は4~7月の反動で山に行ったり5日間のお出かけをしていたからとは言えない。

 

結果は専門は12/15で合格、実技は不合格という結果でした。

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おまけ

単語テストで狂ってしまった人

57回気象予報士試験まで

ここまでで、M2はやべえって思った方も多いと思います。実はここからが本番です。

例えば10月の東大理3主席の教授から放たれる生化学の試験が行われました。

その難しさは伝説級で、全て四択の記号問題にもかかわらず去年度は合格点が4割になり、それでも三割前後の人数が不合格になります。問題は全て英文です。

10月にはこれ以外に試験が二つあります。

そして11月には4割が不合格になる臨床統計学(これは僕も不合格になり、15000字程度のレポートを1月に書きました。正式にはレポートでの救済で合格となり再試験を受けずに済んだので、医学の本試験は全て合格しました。)

このほかに、10月、11月にはレポートが三つくらいありました。

他にも1月の試験では英語の論文に空欄が空いており、そこに当てはまる英単語を書かせる医動物学試験や、2月には「ヒト型ロボットの設計図を神経解剖学に則り答えよ」の一題しか聞かれない神経解剖学試験、医師国家試験のもじりみたいな問題が出てくる感染症学、スライドの隅からしか出てこない化学試験etc........

こういう試験が1月に5個、2月に5個の合計10個あります。(以下、1月試験、2月試験と呼ぶ。)つまり8月試験の倍ですね。しかもこれに加えて感染症学はレポートの要求が加わります。(僕は合計30000字弱書きました。)さらに先ほど述べた臨床統計学のレポートも気象予報士試験の3日前から要求され本当の地獄を味わいました。

ちなみにクリスマスにも試験を行ってくださいました。やったね!

しかし、気象予報士試験にこの回で合格することができました。戦略としては、11月、12月に一般の勉強を週2回程度、2月の試験は気象予報士試験後家に引きこもって勉強すると決意していったん割り切り、1月後半は気象予報士に費やすという戦略を取りました。

↓1月の予定表です。

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ですが、この戦略は諸刃の剣です。2月の試験は結局のところやらないといけないわけで、最悪の場合、気象予報士試験も落ち、2月の試験も落としてしまい、そして再試験で延長戦を強いられるそこでやられると留年ということになります。

1月試験でメンタルを削られている中、2月試験の恐怖の中、1月後半の気象予報士試験と向き合い続けることとなりました。

これがなかなかにメンタルにきて、本来なら2月試験が終わった後遊びの予定などを建てる時期に全ての予定を一度キャンセルすることをしてしまいました.......

あとは、気象予報士試験を周りで受験する人がいなかったので完全に孤独との戦いでした。医学の試験の苦しみは周りと共有できることはできたのですが、気象予報士試験における苦しみは誰とも共有することができなかったので、共通の試験を行う友人を持つことはとても大切だなと思いました。

実技では過去問演習を中心に、自分の解答と模範解答を照らし合わせる作業を行いました。模範解答に書かれているいい表現をノートに書き、それを覚えていきます。ある程度この場面ではこのフレーズを使うといったことがあるので、適切な場面で使えるようになりましょう。

 

結果は一般が14/15で合格、実技合格により、ついに気象予報士試験に合格することができました。

 

実はその前に医学の試験もすべて本試験で合格することができていたので、気象予報士試験も受かっているといいなあと思っていましたがまさか合格しているとは思わず、この文章を書いている今ですら夢のようです。

 

 

まとめ

テキストは一冊でいいです。

気象予報士かんたん合格テキストが良いでしょう。一般、専門はこれで通しました。

僕は一般学科については2013年度版のテキストで合格したので、本当に理論さえわかていれば何でもいいと思います。

専門学科については、最新のテキストでも現代の技術に追いついていない場合があるので、過去問演習を解き終えた後は気象庁のホームページは絶対に確認したほうがいいです。

実技は過去問演習しかしていません。そもそも実技ができない理由は実技の技術不足か、一般、専門の学科の知識が身についていないかの二択です。前者の場合は解答解説をしっかり見て、次回以降できるようにすることが大切です。後者は教科書を見ましょう。

結局のところ、気象予報士試験に合格しようと効率的に点数を稼いでいるというスタンスより、気象に対するよき理解者になりつづける勇気が大切です。満点で合格するんだという気持ちで、本気で頑張ってください。

本気で向き合っている自分も同時に愛せるようになれると思います。(保証はできません)

僕は将来何になるか決めていませんが、様々な気象予報士の方々とかかわって自分がたくさん愛せるような分野を見つけていくことを目標にしていこうと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。